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2007年6月27日 (水)

全国革新懇代表世話人に就任した経済同友会終身幹事品川正治さんの話

少し永くなりますがお読み下さい。私自身の心を打つお話でしたから。
 私自身はこの間、問題を憲法に絞るかたちで論じてきました。昨年は60回の講演を各地でさせていただきました。新たに革新懇に参加する直接的動機は、いま、政治の世界が反動化し、経済界も反動化している、これを見過ごしていいのかという思いからです。 安倍政権になって、第一次大戦後のドイツ・ワイマール共和国の時代にヒトラーが台頭してきた時を思い起こすような状況です。ヒトラーは「ワイマール体制打破」「世界に冠たるドイツ」と言って出てきました。それが当時のドイツ国民をひきつけた。いま日本では、首相が「戦後レジーム(体制)からの脱却」、「美しい国、日本」などと言い出しています。外国人は「ワイマール時代のヒトラーと一緒だ」というでしょう。 安倍さんは「戦後レジームからの脱却」を国内向けにだけいっているのでしょうが、「戦後レジーム」を否定すれば、サンフランシスコ条約をひていするだけではなく、戦後体制全部を否定する事になります。「それは誤解だ」と安倍さんがいくら言っても、そういう危惧を世界に与えます。 私は思想形成期に戦争を体験しました。 この戦争はおかしいのではないか と感じながら、「国家の起こした戦争」の中で、国民はどう生き、どう死ぬべきかを考えつづけるしか道がなかったのです。しかし、戦争は天災や地震とは違う。人間が引き起こすものです。「国家が起こす戦争」という問題の出し方が事態が間違っていたのです。戦争を起こすのは人間であり、戦争を防ぐ努力ができるのも人間だけなのです。これが私の戦争で得た一番大きな教訓です。 若い人達にはただ、戦争の体験を語るだけでなく、それを普遍化して語る努力が必要だし、思想形成期に戦争を体験したものとしての義務でもあると思っています。 今年で83歳です。年齢を考えたら、革新懇への参加は私の最後の仕事になるでしょう。若い人も含めて、憲法9条にもとづき「戦争しない国」というあり方を、ただ「守る」ということだけでなく、どこまでも追求していくような、そういうものとして残したい。言ってみれば私の戦争体験の、座標軸として一度も変わらずにきたものをなんらかの形で残るような運動を残したい。革新懇は、そういう場にしたいとおもっています。 政治の反動化が強まる一方、憲法問題は「もっと本気で考えないといけない」と国民の意識は変化しています。経済界にも変化があります。 最近、経済同友会や大阪倶楽部、関西倶楽部など経営者の団体で憲法の話をする機会がありました。四月の東京での講演は、同友会の憲法問題懇談会が改憲の提言をまとめていることもあるり、私も構えていきました。 当日は、大きな企業や金融機関の代表者も含め大勢が参加したのですが、途中で誰一人席をたちこともありませんでした。あとで寄せられた感想も「政府との間合いの取り方がおかしい」「憲法9条を変えるというが次のビジョンはどうするつもりなのか」「アメリカべったりではないか」など改憲批判のものばかりでした。 国民はもう二度と戦争をしないと望み、支配政党はそんな決意は一度もしたことがない。日本の戦後は、そういうねじれ現象が60年間続いてきました。ねじれの中で憲法9条2項はボロボロですが、国民は旗をおろしていません。それをもぎ取ろうというのが今です。 日本の国民がこの旗をおろせば、「戦争は絶対にしない」「敵は持たない」という、21世紀に極めて重要な意味を持つ理念が地球上から姿を消します。世界全体にとっても理念の喪失です。 九条を捨てて、誰と何のために戦争をするのか。 安倍さんの答えは明瞭で、アメリカとともにアメリカの戦争をたたかうということです。 そのために小泉前首相は「日本とアメリカは価値観を共有している」といいました。日米同盟強化を理由に改憲を掲げる安倍首相もこの立場を受け継いでいます。超大国アメリカに大事にしてもらうためには「価値観が一緒だ」と言ってしまったほうが得だという判断からです。 しかし、日本は憲法9条がある以上、世界に「敵」はいない、紛争がいくらあっても戦争はしない国です。これに対し、アメリカはこれまで常時戦争をやっている国です。原爆を落とされた国は世界でただ一つにほんだけ、落とした国はただ一つアメリカだけです。「価値観が一緒だ」などと、沖縄や広島・長崎の人達に向かって言えるのでしょうか。 21世紀は戦争と平和の問題で「アメリカを問う」という時代に入っています。しかも世界史的に一番根本的な問いを発することができるのは、平和憲法を持っている日本なのです。その問いを捨てるほどもったいないことは在りません。 いま、こくみんが改憲に反対し、九条を守りきった先に安保条約の問題はどうなるでしょうか。 かつてある外交官の集まりで講演し、私はそこに来ていた元駐米大使に「外交官は日米関係を変え、安保条約にタガをはめられますか」と尋ねたことがあります。 これに対し元大使は次のように語りました。「それを出来るのは国民だけです。国民が ノー と言えば、日米安保条約にいろいろ意図してもできないことがはっきりする。アメリカの世界戦略が変わるし、当然その口火を切った日米安保が変わるでしょう」 この発言に現役の外交官からも拍手が起こりました。
 九条改憲に「ノー」と国民がはっきり言ったら、日中関係も変わり、「一緒にやりましょう」ということになる。日本は「やはり平和の国だ」と、アジアの見る目も変わるでしょう。それでもアメリカは、日米安保は必要だということでいろいろやってくるでしょうが、軍事同盟を絶対に進めないという方向で、日米安保が大きく変質する事は間違いない。この意味でも九条改憲を阻止するたたかいは、新しい未来を開く大きな意味を持っています。
 各地の講演で寄せられる感想文、手紙は、「こんな人が」と思うような人が「九条は絶対守る」という決意を披瀝されている。また、講演の後。一杯やったりすると、「こんな人がそこまで言うのか」という感想がでます。大企業の社長さんです。 そういう人達の心の奥底には 地方の経済界は東京の論理とは違う という思いがあることがよくわかりました。こうして歩くうちに、いざ国民投票になれば随分話が違うぞ、という思いを深くしています。 戦争を食い止めるために今こそ国民の出番です。特に、無党派の人達が現状を諦めず、現状を変える勢力になるにはどうすればいいのか。  それが「新しい日本」「もう一つの日本」に向けて考えざるを得ない問題です。
日常的には無党派なのだが、選挙の時には「二大政党」のどちらかに入れてしまうという 諦めの無党派であってはなりません。新しい日本をつくる志を持ち、 いつまでも無党派ではない というせいりょくができるかどうか、これは新しい日本を目指す大きな契機になります。その勇気を書き立てるにはどうすればいいのか。
 世界史を変えるような仕事でいま国民の出番が来たのだとおもいます。参院選での私達の大きな課題でもあります。革新懇にはせいとうでは日本共産党だけがさんかしています。そこに参加するのはどうしてかと聞かれれば「どこが悪いのですか」と思います。 私はこの前の都知事選挙では共産党が推薦する吉田万三さんを推しました。 私はずっと無党派でやってきました。ただ、憲法九条に対する戦争体験から生まれた認識を「人生の最後の座標軸」にという強い意識をもってきました。だから「憲法はきらいだ」と平気で言う石原さんの憲法違反の言動と本気でたたかう姿勢をもつ人しか推す機はしなかった。石原さんを倒すということでは「浅野さんを勝たせれば倒すことになるのではないか」という声もありました。しかし、最初から憲法の「け」の字も言わないひとを推す気はさらさらありませんでした。
 無党派の問題が大きい中で、無党派の志を本当に汲める組織、これはみんしゅとうだとはどうしても思えません。それをはっきりと表に出してでも 自分はこの道を歩みますよ ということにしたのです。

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