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2007年11月24日 (土)

大江健三郎さんの発言(07・11・24日付け赤旗)1。

 大江さんは九条の会の呼びかけ人でもあり、同時に沖縄の集団自決をめぐる裁判の被告でもあります。
 記者
「沖縄の集団自決について軍の強制を否定する教科書検定に対して、沖縄で大きな怒りが起きています。この問題と経過をどう見ていますか」。
 大江
「沖縄では集団自決という悲惨な出来事があり、慶良間(けらま)列島の二つの島で七百人に及ぶ人たちが自殺を強いられました。誰が強制したか? 集団自決が軍の強制で起こったということは、沖縄の人間は誰でも知っています。本土の人間が知らないだけで、沖縄の人から語ってもらえば、これは事実だとすぐ認識できるものです。戦後から現在まで62年間、誰も集団自決が軍の強制によるという事実を疑ってはこなかった。 
ところが「新しい歴史教科書をつくる会」の人たちが、これは軍の強制ではないといい始めた。
 この問題の一つのきっかけとして、ぼくの『沖縄ノート』(岩波書店)について、渡嘉敷島(とかしきじま)の守備隊長(故人)の家族と、座間味(ざまみ)島の守備隊長にとって名誉毀損であると、ぼくと岩波書店が告訴された。
 ところが、判決はもちろん、まだぼくに証言の機会もないうちに、この裁判を口実に、集団自決が軍の強制かどうか疑問視されているからこの項目を教科書から取り除くようにという指示を、文部科学省が発したわけですね。こんな不自然なことは政治家が介入しなければ起きないことです。
 その教科書検定の結果は、三月三十日の午後に公表された。ところがその日の午前中の裁判で、原告側が集団自決は軍の強制だという項目は教科書から取り去られることが決まった、われわれの勝利だと発言したんです。明らかに教科書を検定する人たちと、ぼくらへの裁判を起こしたひとたちがつながっていることを示したと思います。
 ぼくは裁判を通じて、軍の強制があったことをどのように信じて、この本を書いたかを発言しようと思っていました。九日にその証言があったのですが、その準備のために、小説家になってから五十年間続けてきた、毎日一時間は計画的に英語かフランス語の本を読むという習慣を、はじめて半年間やめました。
 来月20日過ぎに結審され、年内か来年早くに判決がでるようです。沖縄の集団自決は軍の強制だという文章が、問答無用で教科書から取り除かれる風潮では、ぼくらの裁判も楽観できません。
 負けることがあれば、私は、最高裁に至るまで上告し続けようと考えています。もう私は72歳ですから、もしかしたらそれが私の社会的な意味での最後の仕事かもしれません。どういう判決があろうと、それはやる決心をしているのです。(つづく)

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