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2008年6月 8日 (日)

仲代達矢さんが語る「世界のクロサワ」。亡くなってから十年。

 仲代さんは、黒沢作品で育ったような方です。俳優座養成所に入ったばかりの仲代さんは「七人の侍」で始めて黒沢監督作品に出演しました。仲代さんが二十二歳の時です。通行人の一人としてたった三秒間の出演でしたが、「あれは誰だ!」と黒澤監督から大きな声で怒鳴られたそうです。それから延々、何十回もやり直し、朝九時から午後三時までかかったそうです。俳優への厳しい要求。
 それから七年後、「用心棒」「椿三十郎」「天国と地獄」に三年連続して準主役として出演しました。
「一生懸命やっている役者にたいしては非情に寛大でした。よく『役者って商売は大変だね』と言うんです。『われわれのイメージで書き上げた本を肉体化するんだから』って。そのためにはやはり訓練が必要です。自分の引き出しだけで器用にやろうとすると、人の心を打つものには絶対にならない。そのことをよくわかっていました」。
 黒沢監督の本格的カラー映画となった「影武者」で仲代さんは主演しました。武田信玄の影武者の目を通して、戦国の世を描いたこの作品はカンヌ映画祭でグランプリに輝きます。そのカンヌの地で黒沢監督から話を聴いたそうです。「当時、もう次作の『乱』の台本ができあがっていて、その話になったときに、しみじみと言うんです。『どうして人間という存在は、お互いにたたかいあうんだろうか。殺しあうんだろうか。人間が生きている限り、憎悪は消えないものなんだろうか』って。そんなとを真っ直ぐに悩んでいる黒澤さんを見て、僕は素直に感動しました」。
 「影武者」では戦闘シーンを殆ど映さず、殺傷され、のた打ち回る大量の人と馬で戦争の残虐さを表現した黒沢監督。シェイクスピアの「リア王」を日本の戦国時代に置き換えた「乱」では、仲代さん演じる主人公の老領主と息子たちとの争いをとおして、人間の愚劣、戦争の悲惨を刻みつけました。
 平和と人間愛。 黒沢作品に貫かれた核心はこの二つだと仲代さんは語ります。
「これから撮りたい大きなものは、トルストイの『戦争と平和』の日本版なんだと言っていました。最後にお会いしたときも、別れ際に『仲代くん、また大きなものをつくろうね』と言っていましたから、きっとそのことだったんでしょう」。
 「心から願うのは第二、第三のクロサワが日本で生まれてほしい。文化国家でなければならない日本こそ、環境づくりをしなければ。育てるのは、まずお客さんです。現実的な話になると、お金ということにもなるんですが、いらない道路を造るぶんだけ、文化の方にも注いでいただきたい」。
 
 黒沢監督が亡くなってから調度十年。以前のブログで「世界の黒沢はどのように誕生したか」を書きました。
それはアジア侵略戦争中の時代でした。「姿三四郎」が最初の監督作品だったと思います。何も判らぬ軍部に起用された役人は、黒沢さんをこき下ろしたのです。現在もそうですが、文化の「ぶ」の字も知らない役人が大勢います。彼等は何も文化の本質、違いますね、本質なんてことではありません。何も知らずに、与えられた「仕事」をしているだけなのです。私のしていることは日本音楽ですが、その普及はどうすれば良いかも判らないで、ただ自分達の決めた平等そうな独りよがりな発想を、私たちに押し付けるだけです。これで文化は、黒沢さんや仲代さんではありませんが育ちません。文化は非効率なものなのです。そこから莫大な収益は上がりません。公民館の収益の足しには滅多に成りません。収益に関係ないからこそ、人の心を和ませたり出来るのです。感動も提供できるのです。現在の日本の体制は、非文化国家です。そして文化と対極に在るのが戦争です。

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